22歳メキシコ俳優がルフィになった理由——ONE PIECE実写主演イニャキ・ゴドイという人間

Three adults in intricate cosplay costumes perform sword fight outdoors. 映画・ドラマ
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2023年8月、Netflixで配信が始まった実写版「ONE PIECE」は、世界88カ国でTOP10入りを果たし、原作ファンとそうでない人々を同時に驚かせた。そのど真ん中に立っていたのが、当時21歳のメキシコ人俳優イニャキ・ゴドイだ。麦わら帽子をかぶり、ゴムゴムの実の能力者ルフィを体現した彼の姿は、「この人でよかった」という安堵と感嘆を世界中のファンに届けた。

だが、あの笑顔の裏にある人間・イニャキ・ゴドイのことを、あなたはどれだけ知っているだろうか。

5歳で舞台に立ち、22歳で世界を変えた

ONE PIECE実写でルフィを演じる以前から、イニャキ・ゴドイのキャリアは始まっていた。彼が初めて舞台に上がったのは、わずか5歳のとき。メキシコシティ出身の彼は幼い頃から演技に魅了され、児童向けの演劇グループで経験を積み上げた。正式な演技訓練を受けながら、10代のうちからメキシコのテレビドラマにも出演。そのキャリアは約20年に及ぶ。

Netflixが実写ONE PIECEのキャストを発表した当初、ファンの反応は複雑だった。「原作を汚してほしくない」「実写化はどうせ失敗する」——そういった声が溢れるなかで、イニャキ本人はオーディション前にひたすら原作を読み込んだ。話数にして1000話超。彼はただ「役を取りたい」のではなく、「ルフィの魂を理解したい」と思って準備した。その誠実な姿勢がキャスティングの決め手になったとも言われている。

脱毛症と向き合う22歳の誠実さ

イニャキ・ゴドイには、多くのファンが知らない一面がある。彼は円形脱毛症(alopecia)を持つ当事者であり、その経験を公にして啓発活動を行っている。円形脱毛症は、免疫機能の異常によって体毛が抜け落ちる疾患だ。外見的な変化から、特に思春期の当事者が精神的なダメージを受けやすい。

イニャキはそうした経験を隠すのではなく、インタビューやSNSで積極的に語ることで、同じ境遇にある人々に「あなたは一人じゃない」というメッセージを送り続けている。世界的な知名度を得た今も、その姿勢は変わらない。「人気俳優」ではなく「人間としてどう在るか」を問い続けるイニャキの誠実さが、ファンの心を掴んでいる。

田中真弓との麦わら帽子、涙の瞬間

ONE PIECEを語る上で外せないのが、日本語版ルフィの声を35年以上担当してきた声優・田中真弓の存在だ。そしてイニャキは、田中真弓から直接、麦わら帽子を受け取るという特別な体験をした。

「彼女がルフィの象徴を手渡してくれた。僕はそれを受け取るに値する俳優にならなければと思った」——その言葉には、実写版への責任感と田中真弓へのリスペクトが滲んでいる。田中真弓もまた、イニャキのルフィ解釈に感銘を受けたと公言している。実写化に慎重だった日本のファンが少しずつ心を開いていったのは、こうした”本物の対話”が積み重なったからかもしれない。

シーズン2、そしてその先へ

アラバスタ編が描かれるシーズン2に向け、イニャキは今もトレーニングと役作りを続けている。SNSにはトレーニング動画も公開され、「ルフィはもっと強くなる。自分も成長しなければ」というコメントも添えられた。22歳という若さで世界のルフィになった彼の航海は、まだ続いている。

まとめ

  • イニャキ・ゴドイは5歳から舞台経験を積んだメキシコ人俳優で、キャリアは約20年に及ぶ
  • 実写ONE PIECE出演前に原作1000話超を読み込み、「ルフィの魂」を理解しようとした
  • 円形脱毛症(alopecia)の当事者として啓発活動を続ける誠実さを持つ
  • 田中真弓から麦わら帽子を受け取るという感動的なエピソードがある
  • シーズン2(アラバスタ編)に向け、トレーニングと役作りを継続中

ONE PIECE実写版が好きな人も、まだ見ていない人も、ぜひシーズン1からイニャキ・ゴドイのルフィを目撃してほしい。

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