アリアナ・グランデの声が震えた瞬間、映画館の空気が変わった。
2024年11月に公開された前作「ウィキッド」は、全米初週興収1億1400万ドルを記録し、ミュージカル映画史上最高のオープニングを飾った。そして2026年3月6日、日本での公開が始まった完結編「ウィキッド 永遠の約束(原題:Wicked: For Good)」は、世界興収歴代1位ミュージカルの幕を下ろす。グリンダとエルファバ、ふたりの運命の結末がついに明かされる。
映画を観る前に知っておきたいこと、観た後に噛み締めてほしいことを、全力で解説する。
前作「ウィキッド」でおさらい——なぜあの結末から続くのか
前作は、オズの国の「悪い魔女」と呼ばれることになるエルファバ(演:シンシア・エリヴォ)と、「良い魔女」グリンダ(演:アリアナ・グランデ)の出会いと友情を描いた物語だ。緑色の肌を持つエルファバは、学校でも社会でも「異質なもの」として扱われてきた。グリンダは人気者で完璧な「良い子」として振る舞う——一見まったく正反対のふたりが、深い絆を結ぶ。
前作のクライマックスでは、オズの魔法使いに裏切られたエルファバが体制への抵抗を選び、グリンダと決別する形で幕が下りる。「オズの魔法使い」の物語の「その前」を描いたことで、前作は単なる前日譚ではなく、悪と善の定義そのものを揺さぶる作品になった。
2025年開催の第97回アカデミー賞では衣装デザイン賞と視覚効果賞の2部門を受賞。衣装担当のポール・タゼウェルによるグリンダの輝くピンクとエルファバの黒のコントラストは、映画の主題をそのまま視覚化した仕事と称賛された。
アリアナ・グランデがグリンダを演じる意味
「この役は、私のために書かれたんじゃないか」とアリアナは2023年のインタビューで語っている。
グリンダは、常に「周囲の期待に応える存在」として生きることを強いられてきたキャラクターだ。アリアナ・グランデ自身も、2017年のアリーナ爆発テロ事件後、深刻なPTSDに悩みながらもパフォーマーとして立ち続けた経歴を持つ。「いつも笑顔でいなければならない」というプレッシャーとの戦い。
グリンダが完結編で見せる「本当の意味での成長」は、アリアナの個人的な旅路とも重なる。彼女が「For Good」を歌う場面——「あなたと出会ったことで、私は永遠に変わった」という意味を持つナンバー——は、多くの人にとって単なるフィクションを超えた体験になるはずだ。
シンシア・エリヴォが体現するエルファバの痛みと強さ
「グリーン・メイクアップを施した日々は、肉体的にも精神的にも限界への挑戦でした」とシンシア・エリヴォは振り返る。
第93回アカデミー賞主演女優賞(映画「ハリエット」)受賞の彼女は、エルファバという役に「社会に拒絶された者のリアルな痛み」を込めた。「Defying Gravity」のラストシーンで映画館に涙をもたらしたのは、彼女の演技がすべての「自分らしさを諦めなかった人間」への讃歌に聞こえるからだ。
完結編では、エルファバの物語がどう決着するのか——「オズの魔法使い」のファンが知っている「悪い魔女の最後」を、この映画がどう扱うのかが最大の見どころになっている。
ブロードウェイ版との違い——映画だからできた表現
2003年のブロードウェイ初演以来、6000万人以上が観た原作舞台は2幕構成で完結するが、今回の映画はPart1・Part2に分割された。これによって映画版が獲得したのは「空間の自由」だ。エメラルドシティの豪華絢爛な街並み、オズの国の空を飛ぶ魔法のシーン、そしてジョン・M・チュウ監督(「クレイジー・リッチ!」)が得意とする色彩設計が全開になる。
また舞台版になかった場面やセリフが映画版には追加されており、原作ファンにとっても新鮮な発見がある。
「For Good」が象徴するもの——友情の終わりと永続性
「I have been changed for good.」
このフレーズは英語として2つの意味を持つ。「永遠に変わった」と「よりよい方向に変わった」——日本語訳では「永遠の約束」というサブタイトルに込められている。グリンダとエルファバが最後に交わすこの曲は、別れの歌であると同時に、出会いへの感謝の歌でもある。
SNSで「#ForGood」のハッシュタグが溢れているのは、この曲への共鳴がリアルだからだ。孤独を抱える現代人に強く刺さる友情の物語は、エンタメを超えたメッセージを持っている。
まとめ
- 前作(2024年公開)の続編。2026年3月6日日本公開
- アリアナ・グランデ(グリンダ)、シンシア・エリヴォ(エルファバ)主演
- 全世界興収歴代1位ミュージカルの完結編
- 2025年アカデミー賞2冠(衣装デザイン賞・視覚効果賞)受賞の前作に続く高クオリティ
- テーマは「友情」「孤立」「善悪の相対性」——現代社会への問いかけ
「For Good」を聴き終えたとき、あなたは何かが変わっているはずだ。


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