ラムネモンキー最終回から一週間が経った今も、あのドラマが頭から離れない。古沢良太という脚本家は、なぜ毎回ドラマをやめられないものに変えてしまうのか。その設計図を今作を含む代表作で読み解いていく。
嫌なヤツなのに応援してしまう理由
古沢良太(52歳)が脚本家として広く知られるきっかけは2012年放映のリーガル・ハイだった。堺雅人・新垣結衣主演で、傲慢で毒舌な弁護士が理不尽な敵を次々と倒す痛快劇は高視聴率を記録した。注目すべきはキャラクター設計だ。主人公・古美門研介の傲慢さは単なる個性ではない。本当の正義とは何かというテーマそのものが彼の欠点と表裏一体になっている。欠点がテーマを体現する、これが古沢脚本の第一の特徴だ。
コンフィデンスマンJPが完成させた中毒の公式
2018年のコンフィデンスマンJPで手法はさらに洗練された。長澤まさみ演じる詐欺師・ダー子の職業そのものが人は見たいものしか見えないというテーマを体現している。詐欺師だから騙すのではなく、騙されやすい人間の本質を暴くために詐欺師という設定がある。ここで加わったのが時系列シャッフルによる種明かしの快感だ。視聴者は騙されながら最後に全仕掛けを解説してもらう。この構造は2007年公開の映画キサラギから磨かれてきた技法で、映画シリーズ第1・2作だけで興行収入63億円超を記録した。
ラムネモンキーが試みた新しい地図
2026年1月14日〜3月25日フジテレビ系水曜10時枠で放映されたラムネモンキーは、古沢良太の新局面を示す。反町隆史・大森南朋・津田健次郎のトリプル主演は、従来のひとりの天才的主人公中心の構造を崩している。三人が交差する物語から浮かぶテーマは大人と子どもの間で揺れる人間の矛盾だ。答えを出さないまま最終回を迎えた脚本は、古沢が観客に問い続ける姿勢の現れでもある。
古沢脚本を構造で見ると止まらなくなる
古沢作品に一貫するのは主人公の最大の欠点を見れば、テーマが分かるという法則だ。堺雅人の傲慢さ、長澤まさみの詐欺師という立場、反町隆史たちの大人になりきれなさ、いずれもドラマ全体のテーマと直結している。今後古沢作品を見るときは、主人公の一番目立つ欠点に注目してみてほしい。各プラットフォームでのラムネモンキー配信を確認して、その視点で見返してみてほしい。物語の輪郭がくっきり変わる。


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