BTSが選んだ曲は”民謡”だった——4年間の空白が生んだ完全体の覚悟

Lively concert in Đà Nẵng featuring a large crowd and vibrant pink lights on stage. K-POP・韓流
Photo by Tony Pham on Pexels

あの「Permission to Dance on Stage」ソウル公演の興奮が冷めやらないうちに、BTSは「活動休止」を宣言した。2022年6月14日、YouTubeで公開された動画の中でRMは泣いていた。「みんながそれぞれ時間が必要だと思う」。その言葉を聞いたとき、世界中のARMYが凍りついた。

それから4年弱が経過した2026年春、BTS完全体が帰ってきた。選んだ曲の名前は「ARIRANG」——朝鮮半島に数百年前から伝わる民謡だ。なぜ7人は、よりにもよってあの曲を選んだのか。その答えを追いかけるとき、4年間の空白の意味が少しずつ見えてくる。

ARIRANGとは何か——民謡が持つ重さ

日本で「さくらさくら」や「花は咲く」が特別な意味を持つように、ARIRANGは韓国人にとってかけがえのない曲だ。起源は朝鮮時代にまでさかのぼり、日本統治時代には抵抗と希望の歌として民衆の間で歌い継がれた。2012年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されている。

「아리랑 아리랑 아라리요(アリラン アリラン アラリヨ)」——この繰り返しのフレーズを知らない韓国人はいない。歌詞の内容は離別と望郷の情だが、そのメロディはどこか懐かしく、同時に胸を締め付ける。

BTSがこの曲にアプローチするにあたって、BIGHIT MUSICは「伝統と現代の融合」を掲げた。オリジナルの民謡アレンジをベースに、現代K-POPのビートとストリングスを重ねた楽曲構成は、彼らのディスコグラフィの中でも異質な存在感を放っている。

全員が戻ってくるまでの1461日

BTS完全体の「空白」を理解するには、各メンバーの入隊・除隊タイムラインを整理する必要がある。2022年12月にJinが最初に入隊。その後J-Hope(2023年4月)、RM・V・Jimin・Jung Kook(2023年12月)が続き、最後にSUGAが2024年9月に除隊した。Jung Kookが最も遅く除隊したのが2025年6月——約2年半にわたって、7人が同時に揃う瞬間は訪れなかった。

この期間、ARMYは何をしていたか。各メンバーのソロ活動を追い続けた。Jinはリリース前から「The Astronaut」が話題になり、J-Hopeはロラパルーザのヘッドライナーとして歴史を刻んだ。RMはアルバム「Indigo」で大人のアーティストとしての地位を確立し、SUGAはワールドツアーを決行した。Jimin、V、Jung Kookもソロ活動でそれぞれのカラーを深化させた。

個人としてのパワーが増したからこそ、「完全体に戻ったときの化学反応」に対する期待は、2022年以前より遥かに高くなっていた。

「なぜARIRANGなのか」——7人の返答

カムバック発表時のインタビューで、RMはこう語った。「入隊中、僕たちは7人それぞれ別の場所にいた。でも、ある夜ふとARIRANGを口ずさんでいる自分に気づいた。あの曲は、離れていても同じ場所を向いているときに浮かぶ曲だと思う」。

JINも近い感覚を持っていたという。「軍隊の中でもARIRANGは歌われる。軍のセレモニーとか、特別な日とか。あの曲を歌うとき、『自分はどこかにつながっている』という感覚があった」。

7人が別々の部隊にいながら、同じ曲に辿り着いていた——このエピソードが「ARIRANG」を選ぶに至った最大の理由だと、BIGHIT MUSICの公式リリースでも触れられている。ただしBTSが作り上げた「ARIRANG」は完全なオリジナル民謡ではない。7人が持ち寄ったフレーズや歌詞が加えられ、構成はK-POP的なバース・プレコーラス・コーラス形式を踏みながら、民謡的な起伏も残している。その折衷感こそが、「2026年のBTS」を象徴しているとも言える。

東京ドーム公演——4年ぶりの再会

2026年7月、BTSは東京ドームでのワールドツアーを予定している。日本のARMYにとって、これはただのコンサートではない。コロナ禍で中断された「Permission to Dance on Stage」以降、BTSの来日公演は実現していなかった。2022年以降の活動休止・順次入隊という流れの中で、日本ツアーは「いつか来るかもしれない未来」として棚上げにされてきた。それが4年の時を経て、現実として動き出した。

来日公演セットリストに「ARIRANG」が組み込まれるかどうかは明らかになっていないが、もし東京ドームの天井に向けて7人がその民謡を歌う場面があれば——それは映像として永遠に残り続けるだろう。

まとめ

  • BTS「ARIRANG」は、全員除隊後初の完全体カムバック楽曲としてリリース
  • 伝統民謡ARIRANGをK-POPアレンジで現代化。2012年ユネスコ無形文化遺産登録曲
  • 各メンバーが入隊中に個別にARIRANGを口ずさんでいたエピソードが楽曲選択の原点
  • 4年間のソロ活動を経て、7人のアーティストとしての深みが増した状態での「完全体」
  • 2026年7月の東京ドーム公演は、日本のARMYにとって待望の再会の場

「4年間の空白」は、BTSにとって停滞ではなかった。7人がそれぞれ別の道を歩み、深まり、それでも同じ曲を胸に持っていた——「ARIRANG」はその証明だ。東京ドームで7人の声が重なる瞬間、それは2022年6月に泣いていたRMへの、4年越しの返答になる。その舞台を、ARMYと一緒に見届けたい。

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