岡部たかし、朝ドラ2期連続父親役の秘密——ばけばけのバイプレイヤーが主役を引き立てる演技哲学

舞台俳優が稽古をする様子 映画・ドラマ
Photo by cottonbro studio on Pexels

NHK連続テレビ小説「ばけばけ」(2025年度後期)の最終週目前、バイプレイヤー・岡部たかしへの検索が急増している。ヒロインの父・司之介を演じる岡部たかしは、前作「虎に翼」に続く朝ドラ2期連続父親役。SNSでは「安定の岡部たかし的展開」という言葉が自然発生するほど、バイプレイヤーとして視聴者の心を掴んでいる。

「虎に翼」に続いて2期連続——朝ドラ父親役の「常連」が持つ本当の理由

「ばけばけ」最終週(3月23日〜27日)を目前に、ヒロイン・松野トキ(髙石あかり)の父・司之介を演じる岡部たかしへの注目が高まっている。前作「虎に翼」でも主人公の父親を演じており、朝ドラで2期連続の父親役というのは異例だ。今作では元武士でお金の稼ぎ方を知らないという、笑いとシリアスの境界を絶妙に渡るキャラクターを体現している。

フリーターから24歳の決断——劇団東京乾電池への入団

岡部たかしは1972年6月22日、和歌山県生まれの53歳。高校卒業後は建設会社の現場監督として働いたが1年で退社し、フリーターとして生活していた。転機は劇団東京乾電池の大阪公演との出会いだった。衝撃を受けた彼は24歳で上京を決意。柄本明率いる劇団のオーディションでは、真っ白なスーツを着て尾崎豊のI LOVE YOUを熱唱したという逸話が残っている。25歳で入団、3年間修業を積んだのち退団し、宅配・警備員・タクシーの配車など多様なアルバイトをしながら20年以上かけてキャリアを積み上げてきた。

「主演を食う」とはどういうことか

「主演を食う」という言葉を、傲慢なベテランが現場を掻き回すイメージで捉える人もいるかもしれない。だが岡部たかしの場合、それはまったく違う現象として起きる。劇団東京乾電池で培った余白の演技——不要な動きを削ぎ落とし、最小限の表現で最大の効果を出す技術が、映像の中で独特の存在感として表れている。武士のプライドと情けなさを同居させた司之介を、過剰な演技なしに体現する。それが「主演を食う」と評される理由だ。

「名前を知らなかった俳優」が名前で呼ばれる日

2022年放送のドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」のプロデューサー役で注目を浴びる前、岡部たかしは多くの人にとって「名前はわからないけど見たことある顔」だった。「ひよっこ」「なつぞら」「エール」「ブギウギ」——NHK朝ドラだけでもばけばけ以前に5作品へ出演している。スターが「自分を見せる」なら、バイプレイヤーは「世界を見せる」。その信念が一貫している俳優は、気がつくと視聴者が自発的に名前を探している状態を生み出す。

最終週、もう一度だけ「目」を追ってみてほしい

3月23日から始まる「ばけばけ」最終週。セリフが終わった後、シーンが切り替わる寸前の一瞬——そこに宿る表情を追ってみてほしい。「ばけばけ」を機に「エルピス」「虎に翼」と過去作を遡ると、また別の発見が待っているはずだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました