堂本剛と.ENDRECHERI.の違いとは?ファンク沼の入り口を解説

スタジオでドラムを演奏するミュージシャン 音楽
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ドラマを観ていたら、エンディングで妙に引っかかる曲が流れた。甘くてグルーヴィーで、なのになぜか切ない。調べてみると、歌っているのは堂本剛ではなく.ENDRECHERI.という名義だった——そんな体験をした人が2025年以降に急増している。ABEMAドラマ「死ぬほど愛して」の主題歌「super special love」は、ドラマファン以外への波及効果も大きかった。この曲を入口に、.ENDRECHERI.という存在を初めて認識した人も多い。

KinKi Kidsの堂本剛が、なぜ別名義で活動するのか

KinKi Kidsとしての堂本剛は、王道のJ-POPを歌うアイドルだ。KinKi Kidsのシングルはデビューから47作連続でオリコン1位を獲得し、ギネス世界記録にも認定されているという事実は、彼がいかに「大衆音楽の王道」に位置する存在かを示している。

一方.ENDRECHERI.はファンク・ソウルを軸にした、完全に別人格のアーティストとして機能している。ファンクとは1960〜70年代にアメリカで生まれた音楽ジャンルで、ベースやドラムが主導する強いグルーヴ感が特徴だ。プリンス、ジェームス・ブラウン、スライ&ザ・ファミリー・ストーンらを愛聴してきた堂本剛が、この分野に深くのめり込んだ結果が.ENDRECHERI.という形になった。同じ人物の中に「47作連続1位のアイドル」と「ファンク職人」という二つの顔が共存している——その落差と深さが.ENDRECHERI.の面白さの本質だ。

「super special love」が生まれた背景

2025年2月26日リリースのミニアルバム「END RE」収録曲「super special love」は、甘いメロディと重厚なファンクサウンドが同居する楽曲だ。コード進行はファンクの文法に忠実でありながら、サビで浮かび上がるメロディラインはKinKi Kidsファンにも抵抗なく入れる普遍性を持っている。「聴きやすいのにちゃんと本格的」という感覚が、ドラマ経由の新規リスナーを引き留める理由のひとつとみられる。

ABEMA「死ぬほど愛して」は成宮寛貴が約8年ぶりに俳優復帰を果たした作品として注目を集め、主題歌への関心も高まった。ドラマとしての話題性が楽曲の露出を増やし、楽曲の品質がそれを定着させるという好循環が生まれた。

ミニアルバム「END RE」の音楽的な深さ

「END RE」は全6曲構成で、タイトルはENDとRE(再生・再起)を掛け合わせた造語だ。収録曲はすべてオリジナルで、堂本剛本人が作詞・作曲・プロデュースを担当している。サウンドはファンクを基軸にしながらも、エレクトロの要素や繊細なストリングスが絡み、単純なファンクアルバムには収まらない複雑さを持つ。

特筆すべきは、全曲でベース・ギター・キーボードのグルーヴが絡み合い、各楽器の対話が楽曲の骨格を作っている点だ。メロディに頼りすぎないサウンドデザインは、歌詞がわからなくても体が動くという体験をリスナーに与える。そこが、ジャンル的にはマイナーなはずのファンクアルバムが広いリスナーに刺さる理由だ。

プリンスへの敬意と日本のファンク——.ENDRECHERI.の音楽的系譜

堂本剛がファンクと本格的に向き合い始めたのは2000年代に入ってからで、ソロ活動を通じてその傾向は年を追うごとに強まった。特に2016年のプリンス死去は彼にとって大きな転機だったとみられており、その後の.ENDRECHERI.名義の楽曲にはプリンスへのオマージュが随所に感じられる。

プリンスが体現した「黒人音楽の文法を白人市場に橋渡しする役割」は、.ENDRECHERI.が「本格的なファンクを日本の大衆に橋渡しする役割」に重なる。日本語でファンクを歌うことの難しさ——英語の発音が生み出すグルーヴとは異なる言語構造——に正面から向き合い、日本語のまま成立させる試みは、.ENDRECHERI.が長年取り組んできた課題だ。

ライブで体感すべき.ENDRECHERI.のグルーヴ

2025年には全国9都市15公演のライブツアー「REBORN」が行われた。.ENDRECHERI.のライブは、スタジオ音源とは別の体験として多くのファンが語る。ファンクは特に「生演奏でのグルーヴ感」が音源と大きく異なるジャンルで、バンドとの一体感の中でこそ本来の魅力が発揮される。「REBORN」のセットリストは新旧の楽曲を横断しており、「super special love」を入口に来た新規ファンにとっても過去作を体感できる機会になったとみられる。

どこから聴き始めるべきか——.ENDRECHERI.入門ガイド

「super special love」はそんな.ENDRECHERI.の入口として、これ以上ないほど聴きやすい一曲だ。まずこの曲から聴き始め、気に入ったらミニアルバム「END RE」へ。さらに深みにはまるなら、2018年のアルバム「ENSLAVED」や2020年の「to you」まで遡ると、堂本剛が音楽で何を追い求めてきたかが見えてくる。

KinKi Kidsのイメージしかなかった人がこのラインをたどると、同一人物の音楽的な振り幅に驚くはずだ。アイドルとアーティスト、どちらも本物だからこそ生まれる緊張感——それが堂本剛という存在の、最も面白い部分かもしれない。

「ファン以外に伝わる」という.ENDRECHERI.の稀有さ

ジャニーズ(現SMILE-UP.)出身アーティストがファンク・ソウルの本格的なアルバムを作り続け、しかもそれが批評的にも評価されるケースは世界的に見ても珍しい。アイドル出身者が「音楽的な深さ」でも認知されるには、作品の品質が既存のファン層の期待を大幅に超えなければならない。

.ENDRECHERI.の楽曲が、ファンク専門のリスナーからも「ちゃんと鳴っている」と評価される理由は、グルーヴの作り方への妥協のなさにある。サビで気持ちよくなれるポップな設計と、バンドのアンサンブルが本質的に機能しているファンク的なサウンドデザインを両立させるのは、実は非常に難しい。その難しさを「super special love」一曲で体感できるのが、この曲が入門として優れている最大の理由だ。

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