「また初週地獄か」——毎シーズン、スプラトゥーン3のXマッチに潜り始めたプレイヤーが呟いてきた言葉だ。Xパワー2000台なのに3500クラスの猛者と当たる、あの理不尽な体験。それがVer.11.1.0でついに本格的なメスが入った。2026年3月配信のアップデートで実施されたマッチメイク改善は、長年のコミュニティの不満に任天堂が正面から応えた、今作最大級の変化のひとつだ。
そもそもXマッチとは——ガチ勢の戦場「Xパワー」の仕組み
スプラトゥーン3のXマッチは、ランクX(ウデマエX)に到達したプレイヤー向けの最上位マッチングモードだ。勝敗によって「Xパワー」が変動し、ルールごと(エリア・ヤグラ・ホコ・アサリ)に独立したレーティングが管理される。Xパワーの上位プレイヤーはシーズンごとに「Xランキング」に名前が載り、トップ500には任天堂から特別な称号が贈られる。
シーズンは3ヶ月ごとに更新される。リセットといっても完全ゼロになるわけではなく、前シーズン終了時のXパワーをもとに計算された「推定Xパワー」という内部値が引き継がれ、これがマッチングの初期基準値になる。
シーズン初週、なぜ「地獄」だったのか
問題の根源は、推定Xパワーが「安定するまでに試合数が必要」という仕組みにあった。シーズン初日から大量に潜るトップ勢は、高い推定値を持ったまま次々と試合をこなし、素早く正確なXパワーへ収束していく。一方、数日後に参戦するカジュアル寄りのXプレイヤーは、推定値がまだ不安定な状態でマッチングプールに投入される。
この非対称性が「Xパワー2000のプレイヤーと3500クラスが同じ試合に入る」という極端な実力差マッチを生み出していた。X(旧Twitter)では毎シーズン開始直後に「また理不尽」「初週だけでモチベ消えた」という嘆きが溢れ、Discordのスプラ3コミュニティでは「初週だけはXに潜るな」というアドバイスが半ば常識として定着していたほどだ。
任天堂もこの問題を把握していたとみられ、過去のバージョンでも部分的な調整は行われてきた。しかしVer.11.1.0では、これまでより踏み込んだアルゴリズムの変更が実施された。
Ver.11.1.0が変えたこと——許容Xパワー差の「絞り込み」
今回のアップデートで任天堂が行ったのは、マッチメイクの「許容Xパワー差の範囲」を絞り込む調整だ。これまで待機時間を短くするために広めに取っていた実力差の許容幅を、シーズン序盤に限って厳格化した形になる。
具体的には、推定Xパワーが安定していないプレイヤー同士を優先的に組み合わせるロジックが強化されているとみられる。待機時間がわずかに伸びる可能性はあるが、「10分待っても実力の近い相手と当たる」ほうが体験として遥かにマシという判断だ。また、シーズン序盤はXパワーの変動幅が大きく設定されており、早期に正確な実力値に収束させるスピード感も改善されたとみられる。
スプラトゥーン3のXマッチ参加者数は、国内だけで数十万人規模とも言われている(任天堂の公式発表ではないが、各シーズンのランキング登録数やコミュニティの規模から推定)。その全員に影響する変更だけに、アップデートの重みは相当なものだ。
ハンコ調整との相乗効果——環境が「まとも」になる
Ver.11.1.0ではブキバランスの調整も実施されており、特にハンコ(ウルトラハンコ)の軌道変更が注目を集めている。長らく「ゴリ押しスペシャル」として一部プレイヤーから忌避されていたハンコは、スタンプの動きが若干予測しやすく調整された。回避が難しい理不尽さが緩和され、立ち回りの工夫が報われやすくなるとみられている。
マッチメイクの改善とブキバランスの調整が同時に来ることで、「まともな実力差の相手と、まともなブキ編成で戦える環境」がより多くのプレイヤーに届きやすくなる。これは単なる数字の調整以上の、ゲーム体験の質的な変化だ。「Xマッチが面白くなった」という感想がSNSに増えるなら、そのままプレイヤーの継続率にもつながる。
コミュニティの反応——歓迎と「様子見」の声
アップデート情報が公開された直後から、X(旧Twitter)やRedditのスプラ3コミュニティでは歓迎の声が相次いだ。「これをずっと待ってた」「任天堂ちゃんと聞いてたんだ」という安堵の声が目立つ一方、「実際に試すまでわからない」「毎回言ってたけど改善されてなかったし」という慎重な見方も少なくない。
スプラトゥーン3は2022年9月の発売以来、定期的なバージョンアップでコンテンツと調整を重ねてきた。任天堂はフィードバックを受け取り、時に大胆な変更を加える開発姿勢を持つ会社だ。今回の調整が実際にどう機能するかは、次シーズン開始直後のSNSが正直に教えてくれるだろう。
なお、Ver.11.1.0はマッチメイク・ブキ調整以外にもいくつかの修正が含まれている。ステージのオブジェクト当たり判定の見直しや、一部ギアパワーの挙動修正なども含まれており、総合的なゲームバランスの改善を目指したアップデートとなっている。パッチノートは任天堂の公式サイトで全文が公開されているため、細かい変更点を確認したいプレイヤーはそちらも合わせてチェックしてほしい。
まだXマッチに踏み込めていない人へ——今がチャンス
ウデマエXに到達したものの「Xマッチは怖くて潜れない」というプレイヤーは一定数いる。初週地獄の評判がそのまま「Xは理不尽な場所」というイメージを作ってきた側面も否定できない。特にウデマエSやS+帯でXに上がったばかりのプレイヤーにとって、最初のXマッチは精神的なハードルが高い。
しかしVer.11.1.0のマッチメイク改善が機能するなら、このタイミングがXマッチへの入り時かもしれない。Xパワーはあくまで「今の自分の実力の指標」であり、負けても大きく崩れるわけではない。大切なのは試合を重ねて推定値を安定させること。序盤に多少負けが続いても、試合を重ねれば実力に見合ったXパワーへと収束していく。そのためのシステムが、ようやく整ってきた。ぜひ今シーズン、勇気を持ってXマッチに飛び込んでみてほしい。


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