二階堂ふみはなぜ唯一無二なのか──ヴェネチア受賞から婚約、そしてVIVANT続編での新章まで

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2026年7月26日。日曜夜9時、TBSで「VIVANT」の続編が幕を開けた。女優・二階堂ふみが演じる柚木薫の姿を、多くの視聴者が待ちわびていた。堺雅人、役所広司、阿部寛──そのなかに、沖縄出身の31歳、二階堂ふみがいる。開幕直後から公開されたビジュアルには「敵組織に取り込まれた?」という考察がSNSを席巻した。なぜ、二階堂ふみはいつも「その先」を見せ続けるのか。2026年の今だからこそ、そのキャリアの軌跡を追ってみたい。

17歳、ヴェネチアの風が変えたもの

2011年、映画「ヒミズ」が第68回ヴェネチア国際映画祭に出品された。監督は園子温。共演は染谷将太。そして二階堂ふみ、当時17歳。

同年9月、世界最古の映画祭の舞台から速報が届く──「二階堂ふみ・染谷将太、マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)共同受賞。日本人初」。この賞は、世界のどんな新人よりも光を放った若い才能に贈られる。過去の受賞者にはジェニファー・ローレンスやガエル・ガルシア・ベルナルの名前も連なる国際的な賞だ。その系譜に、まだ高校生だった沖縄の少女が並んだ。

映画でふみが演じたのは、過酷な家庭環境のなかで生き延びようとする少女・夜野瑞希。ダメ男の父に捨てられながらも、ある男の子を愛し、泥の中でもがき続ける女の子だ。「地の果ての狂気」と評されたほど、ふみの演技には何か獣的な輝きがあった。

翌2013年、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞も受賞。2014年には「地獄でなぜ悪い」「脳男」「四十九日のレシピ」の3本を引っ提げて第56回ブルーリボン賞の助演女優賞を獲る。デビューからわずか3年で、日本映画界の基準を塗り替えた。

「怪物を宿した目」の秘密

二階堂ふみの代名詞として、よくこんな言葉が使われる。「あの目」。恐怖なのか愛情なのか、怒りなのか悲しみなのか、一つの感情に収まらない複雑な光。「地獄でなぜ悪い」で見せた獰猛な表情は、映画の中でさえ浮いて見えるほどの強度を持っていた。「私の男」(2014年)では、浅野忠信と渡り合いながら禁断の愛の歪みを演じ切った。そして「月」(2023年)では、障害者施設の虐待事件という重すぎるテーマのなかで、揺れ動く良心を全身で体現した。

彼女が選ぶ役は、単純な「善人」や「悪人」ではない。人間の矛盾をそのままパッケージしたような存在だ。2026年現在までの出演作数は50本を超える。NHK大河ドラマ「西郷どん」(2018年)、連続テレビ小説「エール」(2020年)、映画「遠い山なみの光」(2025年)など、ジャンルや役どころを問わず幅広く出演し続けている。だが、ふみの本質が輝くのは、やはり「正解のない人間」を演じるときだ。

カメラを持った女優が撮るもの

2018年、二階堂ふみは写真家としても活動を開始した。「女優がカメラを持つ」というのは珍しくはない。だが、ふみの写真はどこか別の次元にある。被写体を「写す」のではなく、「解体する」に近い視点で捉える、と評されることが多い。

2025年にはシンガーソングライター・大原ゆい子の写真集「√25」を手がけ、2026年にはエタシラの写真集「正面突破」を撮影。いずれも「ただの記念写真ではない、ポートレートのなかに物語がある」と話題になった。さらに、「POPEYE」「NYLON JAPAN」などへの寄稿、「小説新潮」での書評執筆は2014年から12年以上続いている。女優、写真家、ライター。三つの表現の顔を持ちながら、そのすべてが「見えないものを可視化する」という一点でつながっている。

VIVANT続編で「柚木薫」が向かう場所

2023年のVIVANTで、二階堂ふみが演じた柚木薫は「乃木の唯一の心の安らぎ」と公式が表現するキャラクターだった。世界医療機構(WHI)の医師として登場し、スパイ的な謀略が飛び交う中で、薫の純粋さが物語のアンカーになっていた。

2026年7月26日から始まったシーズン2では、そのビジュアルが一変した。公開されたキャラクタービジュアルでは、薫が「敵組織に取り込まれた」ことを示唆する描写が入っており、SNSでは早くも「本当に敵になったのか?」「二重スパイ説」など、考察が飛び交っている。シーズン1の柚木は「守られる存在」だった。シーズン2では複雑さを内包する存在に変わるとしたら、それは女優としての成熟とも重なる。17歳でヴェネチアの新人賞を獲り、20代を多様なキャラクターで駆け抜け、31歳でVIVANT続編に臨む──その積み重ねが今の柚木薫に流れ込んでいるはずだ。

「自分らしく」を裏切らない生き方

2025年8月10日、二階堂ふみとお笑い芸人カズレーザー(メイプル超合金)の結婚が発表された。熱愛報道一切なしの電撃婚。SNSが騒然とした。

だが、落ち着いて考えると、これもふみらしさの延長線上にある。「外の目ではなく、自分の軸で生きる」。デビューから一貫してそのスタンスを崩したことがない。世間の「女優らしさ」に収まらない役を選び、カメラを持って写真家になり、書評を書き続け、世間が想像しないような相手との電撃婚を発表する。すべてに「なぜ」がある。でも、全部に共通するのは「二階堂ふみ自身が本気でそれをやりたいと思っている」という点だ。他者の期待値を計算した上での判断ではなく、自分の感覚に正直な選択──それが積み重なって、「二階堂ふみにしかできないキャリア」が出来上がっている。

まとめ:なぜ今、二階堂ふみが最前線にいるのか

  • 2011年、17歳でヴェネチア国際映画祭の新人俳優賞を日本人初共同受賞
  • 2014年までに日本アカデミー賞・ブルーリボン賞など主要映画賞を制覇
  • 演技・写真・文筆の三刀流で「表現者」としての軸を持ち続ける
  • VIVANT続編(2026年7月〜)では柚木薫が新展開へ、さらなる演技の深みが期待される
  • 2025年8月の電撃婚も含め、「自分の軸を曲げない」生き方が一貫している

「なぜ唯一無二なのか」という問いへの答えは、シンプルだと思う。彼女は、誰かの期待を満たすために動いたことが一度もない。それが怖いほどに、伝わってくる。

VIVANT続編での柚木薫が次にどこへ向かうのか。それを追いながら、二階堂ふみという表現者の新章を見届けていきたい。VIVANT続編はTBS系「日曜劇場」にて放送中(毎週日曜夜9時)。過去作はU-NEXTで配信中だ。

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