紅の砂漠レビュー:メタスコア78点でも100時間止まらない理由を徹底検証

砂漠の広大な砂丘——オープンワールドRPG紅の砂漠の世界観をイメージ ゲーム
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メタスコア78点という数字が、最初はちょっと引っかかった。

2026年3月20日、Pearl AbyssのオープンワールドRPG「紅の砂漠」がPS5・Xbox Series X・Steam向けに同時リリースされた。開発期間は実に7年。代表作「黒い砂漠」で培った技術力を全投入した超大作だが、批評家の評価は賛否が分かれた。一方でSteamのユーザーレビューは「非常に好評」を維持し続けており、スコアは82〜85%前後を推移している。この批評家とユーザーの温度差こそが、この作品の本質を映し出している。

「紅の砂漠」とはどんなゲームか——7年の開発が生み出したもの

「紅の砂漠」は韓国のゲームスタジオPearl Abyssが2019年に発表し、長期にわたる開発を経て2026年3月に正式リリースしたオープンワールドRPGだ。同社の代表作「黒い砂漠」はPCとモバイルで世界累計5000万ダウンロードを超えるMMORPGで、特に戦闘システムとグラフィッククオリティで高い評価を得てきた。「紅の砂漠」はそのエンジンと技術力をシングルプレイヤー向けに全面的に刷新した野心作だ。

舞台は「マゴニア」という架空の大陸。砂漠・密林・雪山・沿岸都市など多様な地形が広がり、各地域に固有の文化・勢力・政治力学が存在する。主人公キマベルは流浪の傭兵として各地域に深く関わりながら、陰謀と抗争が絡み合う世界を生き抜いていく。オープンワールドRPGとして比較されるのはウィッチャー3やエルデンリングだが、どちらとも異なる独自の質感と体験が待っている。

批評家が78点をつけた理由——序盤の壁を正直に語る

Metacritic上の批評家スコア78点(PS5版)は、大作RPGとしてはやや物足りない印象を与えるかもしれない。批評家のマイナス評価に共通していたのは主に2点だ。

ひとつは序盤の説明不足。マゴニアの世界は固有名詞と勢力関係が複雑に入り組んでおり、最初の10〜15時間は世界観の把握だけでかなりの認知負荷を要する。チュートリアルが丁寧とは言いがたく、「何をすればいいのかわからない」という感覚が序盤につきまとう。

もうひとつはオープンワールドの密度のムラ。広大なフィールドの一部では探索コンテンツが薄く、移動時間に対してリターンが見合わないエリアが存在する。「広さ」が「豊かさ」に直結していないと感じる場面が序盤から中盤にかけて散見される。

これらの批判は的外れではない。序盤の壁は確かに存在する。だがそれでもSteamユーザーが「非常に好評」を維持しているのには明確な理由がある。

20時間目からの化学変化——中毒性の正体

Steamのレビューを読み込むと、興味深いパターンが浮かぶ。「序盤はきつかった」という書き出しで始まり、「30時間過ぎたら手が止まらなくなった」と続くレビューが驚くほど多いのだ。

20時間目前後で何が起きるのか。端的に言えば、ゲームの「文法」が体に染み込み始める。序盤に散りばめられた伏線が回収されはじめ、各地域の勢力争いにプレイヤーの選択が影響を与えていることが体感できるようになる。戦闘システムも習熟度に応じて奥行きが広がり、「いかに効率よく敵を倒すか」から「いかにスタイリッシュにさばくか」という発想転換が自然に起きる。

Pearl Abyssが「黒い砂漠」で磨いてきたのは、プレイヤーを長期間つなぎ止めるループ設計だ。「紅の砂漠」でもその思想は健在で、メインクエストをクリアしても世界はまったく終わらない。100時間というのは完全クリアの平均値ではなく、コンテンツの半分程度を消化した段階という報告がRedditやSteamコミュニティに多数上がっている。サブクエスト・勢力の領土争い・ボス周回・装備強化と、コンテンツの層が縦に深く積み重なっている。

PS5・PCで体感する韓国産グラフィックの底力

「紅の砂漠」の映像クオリティは、現行世代ハードの中でも突出したレベルにある。砂漠の砂粒の質感、夕暮れ時の光の屈折、密林での葉の透過光——PS5のSSDを活かしたシームレスなフィールド移動と組み合わさることで、ただ歩いているだけで画面に吸い込まれるような体験が生まれる。

PC版では高解像度テクスチャオプションも利用可能で、4K・60fps環境ではコンソール版と別次元の映像体験が得られる。「このゲームのためにグラボを買い替えた」という声がSteamコミュニティに複数見られるほどで、最新ハードの性能を引き出す技術デモとしての側面も持つ作品だ。

どんなプレイヤーに向いているか——購入判断のチェックリスト

「紅の砂漠」はすべてのRPGプレイヤーに向いているわけではない。以下のポイントで判断するといい。

向いているプレイヤー:ウィッチャー3やドラゴンズドグマ2のような骨太オープンワールドを楽しんだ経験がある人、序盤の学習コストを苦とせず長期プレイを好む人、グラフィックと戦闘の爽快感を重視する人、韓国産ゲームの可能性を体験したい人。

向いていないプレイヤー:最初から密度が高い体験を求める人、ストーリーの分かりやすさを重視する人、プレイ時間が限られていてサクッと楽しみたい人、オープンワールドに疲れを感じている人。

批評家スコア78点が示すのは「万人向けの傑作ではない」ということだ。しかし骨太なオープンワールドを求めているプレイヤーが序盤の壁を越えたとき、その先に待っているのは相当な密度と中毒性だ。価格は通常版9800円(Steam)で、100時間以上のボリュームを考えれば十分なコスパといえる。

スルメか神ゲーか——その答え

「紅の砂漠」をスルメゲーと呼ぶか神ゲーと呼ぶかは、どの時点で評価するかによって完全に変わる。序盤10時間で語るなら「難解で不親切なゲーム」だ。だが50時間プレイした後に語るなら、おそらく多くのプレイヤーが別の評価をするだろう。批評家が見ていた78点の世界と、200時間プレイした廃人勢が語る世界は、もはや同じゲームの話とは思えないほど違う。

その先を体験できたとき、あなたもきっとSteamのレビュー欄に「序盤はきつかったけど……」と書き始めるはずだ。

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