7人への誓いをひとりで書いた夜——RMが『SWIM』に込めたリーダーの孤独と決意

ライブコンサートのステージと光のエフェクト K-POP・韓流
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兵役中の深夜、キム・ナムジュンは何を考えていたのか。

2025年6月に除隊したRM(本名:キム・ナムジュン)が、軍服務中に書き続けた言葉が「SWIM」という楽曲として結実した。BTS全員が兵役に就くという、ARMY(BTSファンの総称)にとって長い空白の時間。その静寂の中でリーダーが紡いだ詩は、グループとしての誓いと、ひとりの人間としての孤独が複雑に絡み合うものだった。「SWIM」——泳ぐ。沈まずに、ただ前へ進む。このタイトル自体が、BTSというグループの本質を映している。

リーダーという役割が生んだ「孤独の作詞」

BTSにおけるRMの立ち位置は、単なる「ラッパー兼リーダー」という言葉では括れない。グループのコンセプト設計、世界に向けたスピーチ、そして何より——歌詞の哲学的な土台を作ってきた人物だ。デビューからの13年間(2013年デビュー)、RMは常に「BTS全体の言語」を考えてきた。しかし兵役中、ナムジュンはBTSとしてではなく、ひとりの人間として向き合わなければならない時間を過ごした。

「一等兵として入隊した瞬間、自分はキム・ナムジュンになった。RMでも、BTSのメンバーでもなく」——彼がインタビューで語ったとされるこの言葉は、「SWIM」の制作背景を理解する上で鍵になる。兵役という強制的な「個人」への回帰。そこで書かれた歌詞には、グループのリーダーとしての責任感と、それを一時的に手放したことへの複雑な感情が滲んでいる。

「SWIM」の歌詞を読む——水面に浮かぶ7人の影

「SWIM」の歌詞で特徴的なのは、「we(私たち)」と「I(私)」の使い分けだ。孤独な夜に書かれながら、歌詞の視点は一人称と複数形の間を行き来する。個人としての迷いや恐怖を「I」で吐露しながら、それでも最終的には「we」に帰着する構造——これはRMが「BTSのリーダー」という自己定義から完全には自由になれないことを示している。

音楽ジャーナリストの間でも指摘されるのが、「Indigo」(2022年)から「Right Place Wrong Person」(2024年)、そして「SWIM」へと続くテーマの連続性だ。

  • Indigo(2022年):色彩をメタファーにした「喪失」と「美しさ」の探求
  • Right Place Wrong Person(2024年):正しい場所にいながら「ずれた感覚」への自問
  • SWIM:泳ぎ続けること——答えではなく「行為」への信頼

3作品を通じて見えるのは、RMが「確信」ではなく「不確かさの中で動き続けること」を哲学の中心に置いていることだ。それはBTSというグループの軌跡とも重なる。

作詞家を超えた文化人——美術館に刻まれた言葉

BTSファンでない人でも、RMが韓国の美術館や博物館に深く関わっていることを知る人は多い。国立現代美術館へのアート作品寄贈、海外の現代アートコレクション——彼は音楽だけでなく、視覚芸術の領域でも自分の言語を持っている。

この美術への傾倒は「SWIM」の歌詞にも影響を与えている。視覚的なイメージを言語に変換する手法——水という普遍的なモチーフに「継続」「浮力」「群れ」という概念を重ねる表現は、絵画的な視点なしには生まれなかっただろう。

2024年のRolling Stone Koreaのインタビューでは、RM自身がこう語ったとされる。「アートを見ることで、言葉では届かない場所に触れられる。それを音楽に変換するのが自分の仕事だと思っている」。言葉と視覚の往復——このクリエイティブプロセスが、K-POPという枠を超えた評価をRMにもたらしている。

除隊後のRM——BTSリーダーが戻ってきた意味

2025年6月のRM除隊は、BTSファンにとって「完全体への秒読み」の始まりを意味した。Jinは2024年6月12日に除隊、SUGAは2024年6月6日に除隊し、その後RMは2025年6月に除隊。Vは同年後半に除隊を経て、2025年末にはBTSの完全体活動再開が公式にアナウンスされた。

しかし「SWIM」が示すのは、除隊後のRMがただ「グループに戻る」だけでないことだ。ソロアーティストとして深化した哲学を持ったまま、彼はBTSに戻る。それはBTSというグループ自体が、2025年以降に新しい次元へと進化することを意味している。「Indigo時代のRMと今は違う」——そう語る海外のファンの声は多い。兵役前は「内省」だったテーマが、「SWIM」では「前進」へとシフトした。

「SWIM」を深く聴くための3つのポイント

1. 水のサウンドデザイン

イントロに使われた水音と波の質感は、歌詞のモチーフと一体化している。ヘッドフォンで聴くと、水の中にいる感覚が際立つ。

2. コーラスの「we」の瞬間

ソロ楽曲でありながら、サビで「we」が登場する構造に注目。RM個人の物語がBTSへの想いに接続される瞬間が明確に設計されている。

3. 「Right Place Wrong Person」との比較

前作では「ずれた感覚」を抱えていたRMが、「SWIM」では「ずれていても進む」という決意を持つ。2作を続けて聴くと、アーティストとしての成長が一層鮮明になる。

まとめ

  • RMは兵役中にBTSへの誓いと個人の孤独を融合させた「SWIM」を制作
  • 歌詞の「I」と「we」の使い分けが、リーダーとしての自己定義を反映
  • Indigo→Right Place Wrong Person→SWIMと続くテーマの進化が見られる
  • 美術への傾倒が独自の言語的表現を生み、国際的な批評家評価につながった
  • 2025年の除隊・BTS完全体再開を経て、成熟したソロアーティストとしてのRMが帰還

7人のために泳ぎ続けること——その決意を乗せた「SWIM」を、ぜひ今夜もう一度、ヘッドフォンで聴いてみてほしい。

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