2024年1月19日に公開された映画ゴールデンカムイは、初週末だけで興収10.6億円を叩き出して週末興収1位を獲得した。明治末期の北海道を舞台に、元陸軍兵・杉元佐一が金塊をめぐって命がけの戦いを繰り広げるこの作品。スクリーンの中で雪と泥まみれになりながら立ち上がり続ける俳優が、かつて少女漫画の純愛ヒーローを演じていた山崎賢人だと気づいたとき、観客の多くは不思議な感慨を覚えたに違いない。
デビュー当時の「王子様俳優」という出発点
山崎賢人がスクリーンデビューを飾ったのは2011年の映画「僕等がいた」。当時17歳。柔らかい笑顔と線の細いシルエットで10代の心を掴み、以降は「好きっていいなよ。」(2014年)、「アオハライド」(2014年)と少女漫画原作のラブストーリーが続いた。草食系イケメンというカテゴリに収まりかけていた彼に、転換の予兆が現れたのは2019年のことだ。
「キングダム」が引き金を引いた肉体改造
中国統一を夢見る少年兵・信を演じるため、山崎賢人は撮影前の数ヶ月で大幅な筋肉増量に取り組んだ。毎日数時間の殺陣稽古と並行しながら、スタントなしで挑むアクションシーンの比率を意識的に増やした。映画は興収57億円超の大ヒット。シリーズは2022年、2023年と続き、累計興収は200億円を突破した。
雪と泥の中で証明したもの
ゴールデンカムイの撮影が課したのはキングダム以上の過酷さだった。真冬の北海道でのロケは30日を超え、そのほとんどがアウトドアでの撮影。熊との格闘シーン、吹雪の中での白兵戦。監督の久保茂昭は撮影後に山崎くんは一度も弱音を吐かなかったと語った。公開初週の首位獲得から動員を維持し続け、累計興収は40億円超を記録した。
32作品が描くキャリアの縦糸
デビューから現在まで、山崎賢人の出演作は30本を超える。初期の受け身のヒーローから、キングダム以降の能動的に戦う男へ。役柄だけでなく、肉体そのものが変わった。体が資本。だから体で勝負したい。インタビューで繰り返すこの言葉は、どこか決意表明のように聞こえる。
まだ続く、この俳優の変化
ゴールデンカムイの続編制作はすでに発表されており、次作ではさらにスケールアップした展開が予告されている。30代に入った山崎賢人が次にどんな役に挑むのか。少女漫画の王子様からは想像もできなかったその姿を、映画館で確かめたい気持ちが湧いてくる。まだ進化の途中だと、この俳優自身が一番よく知っているはずだから。


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