King Gnu(キングヌー)の最新シングル「AIZO」は、バンド史上最速となるBPM190台のドラムンベースサウンドで構成されている。呪術廻戦 第3期のオープニングテーマとして起用されたこの楽曲は、King Gnuと呪術廻戦がタッグを組む3度目の作品でもある。なぜ今、King Gnuはここまで加速したのか。楽曲と作品の接点から読み解く。
「SPECIALZ」「一途」「AIZO」——3作品が辿った音楽的進化
King Gnuと呪術廻戦のコラボは、積み重ねの物語でもある。2023年放送の第2期「渋谷事変」編にてOPテーマとして起用されたのが「SPECIALZ」。すでに国民的バンドとなっていたKing Gnuの参戦は、それだけで大きな話題を呼んだ。2022年公開の劇場版「呪術廻戦 0」では「一途」が主題歌として起用され、スケールの大きなロックサウンドが映画の余韻を彩った。
そして3度目の「AIZO」。前2作と比較したとき、この楽曲が明らかに「違う次元」に踏み込んでいることがわかる。そこには単なるコラボ継続ではなく、King Gnuが呪術廻戦という作品と本気で化学反応を起こそうとした痕跡がある。
BPM190台という選択——ドラムンベースとは何か
ドラムンベースとは1990年代にイギリスで生まれた電子音楽のジャンルで、BPM160〜180台の高速ビートと重低音ベースラインが特徴だ。「AIZO」はそれをさらに上回るBPM190台で展開される。バンドサウンドでこのテンポを出すことは奏者への相当な要求を意味するが、King Gnuはそれを選んだ。
サビで炸裂する「愛憎」という言葉がBPM190台の疾走に乗ることで、美しさと暴力性が同居する奇妙な感触を生む。これは偶然の産物ではなく、意図的な設計だ。
芥見下々の世界観とKing Gnuの「矛盾の共存」
呪術廻戦という作品の核心は、「呪い(負の感情)を呪いで祓う」という構造的矛盾にある。悪を悪で制する——その哲学は、物語全体の倫理観を揺さぶり続ける。King Gnuの音楽もまた、矛盾の上に成立している。常田大希と井口理という二人の異質なボーカルが同じバンドに共存するという事実そのものが、その象徴だ。
「AIZO(愛憎)」という楽曲タイトルは必然だった。愛と憎しみは対極ではなく、同じ感情の表裏——それは呪術廻戦が全篇を通じて問い続けてきたテーマでもある。
CEN+RAL Tour 2026——あの曲を生で体感できる機会
2026年春開催のKing Gnu全国ツアー「CEN+RAL Tour 2026」では「AIZO」がセットリストに組み込まれている。アリーナ規模でBPM190台のビートを体感することは、音源で聴くそれとは別物だ。重低音が床から伝わり、体ごと楽器になるような感覚——それはストリーミングの再生回数がどれだけ積み上がっても代替できない体験だ。ツアーは2026年4月以降も各地で続く。「AIZO」を事前に爆音で聴き込んでおくほど、ライブの解像度は確実に変わる。


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