歌舞伎町のトー横に集まる少女たち、カルト宗教との接触——4月10日公開の映画『炎上』が、日本映画の新たな地平を切り開こうとしている。
サンダンスが「NEXT」と名指しした、その意味
2026年1月25日、第42回サンダンス映画祭。映画『炎上』はその「NEXT」部門でワールドプレミアを迎えた。サンダンスといえば、世界最大のインディペンデント映画祭。その中でも「NEXT」部門は、最も革新的・実験的な作品に与えられる称号だ。監督の長久允は、2017年に短編映画「そうして私たちはプールに金魚を」で第33回サンダンス映画祭短編部門グランプリを受賞した気鋭の作家。日本人として初めてこの賞を射止めた経歴を持つ。
トー横——「行き場のなさ」が集まる場所
舞台となるのは、新宿・歌舞伎町の新宿東宝ビル脇の路地、通称「トー横」。TOHOシネマズ新宿に隣接するこの場所は、2018年頃から家庭や学校に居場所を失った若者たちが集まるスポットとして知られるようになった。映画が選んだのは、そこにいる少女たちの側の視点だ。カルト宗教との接触というシビアな要素を絡めながら、物語は「自由」という言葉の意味を問い続ける。
森七菜が体現する、傷つきながら立つ姿
主演を務めるのは森七菜。NHK連続テレビ小説「エール」への出演を経て、映画・ドラマ・CMと幅広く活躍してきた彼女が、今作では少女・小林樹里恵(通称:じゅじゅ)を演じる。その澄んだ目と独特の佇まいは、「この世界のルールに馴染めない人間」の痛みを体現できる稀有な才能を感じさせる。
Z世代に刺さる「孤独と繋がり」の物語
「孤独」「居場所」「繋がりたい気持ちにつけ込まれる恐怖」——今の20代が最もリアルに感じているテーマが、この映画の核心にある。4月10日の公開を前に、SNSでは「絶対に劇場で観る」「森七菜のこういう役が見たかった」という声が相次いでいる。サンダンスでの国際的評価と、日本が今抱えるリアルな社会課題——その両輪が噛み合った本作が、公開後にどんな議論を巻き起こすか。スクリーンの前で確かめてほしい。


コメント