2024年10月、チョン・ホソクは一人の兵士として、静かに軍を後にした。出迎えに現れたのは、自身より先に除隊を果たしたBTSのジン——報道陣のフラッシュも、ファンの歓声もない、穏やかな帰還だった。
だがそれは、嵐の前の静けさだった。
除隊からわずか4ヶ月後の2025年2月28日、J-Hopeはソウルを皮切りに「HOPE ON THE STAGE」ワールドツアーをスタートさせた。最終的には15都市・31公演、動員数は約47万人。そして、韓国男性ソロアーティストとして史上初のアメリカ・スタジアム単独公演というギネス級の記録を打ち立てた。これはBTSのメンバーJ-Hopeの話ではない。ソロアーティスト・ホソクとしての、完全なる覚醒の物語だ。
「俺は何者か」——兵役中の自問自答
BTSが2022年に活動休止を宣言し、メンバーたちが順次入隊する中、J-Hopeはいち早くソロ活動で動き出していた。同年リリースした1stソロアルバム『Jack in the Box』は、ヒップホップとアフロビート、実験的なサウンドを大胆に融合させた作品で、「BTSのダンスリーダー」というイメージを鮮やかに裏切るものだった。
「Jack in the Box」——箱の中に閉じ込められていたものが飛び出す、というタイトルには、BTSのJ-Hopeとしての”型”からの解放宣言が込められていた。
2024年には入隊直前に『Hope on the Street Vol.1』をリリース。ドキュメンタリーとともに発表されたこのEPは、ストリートダンス文化への深いリスペクトと、自分自身の音楽的ルーツを再確認する旅の記録だった。そして入隊中も、彼は内側で問い続けた。「BTSとしてではなく、チョン・ホソク個人は、音楽の世界で何者でいられるのか」——その問いへの答えを、除隊後のツアーで世界に示すことになる。
47万人・15都市——「HOPE ON THE STAGE」が変えた常識
2025年2月から6月にかけて行われた「HOPE ON THE STAGE」ワールドツアーは、数字の面でも内容の面でも、K-POPソロアーティストの常識を書き換えた。
韓国男性ソロ第1号、スタジアムを制す
アメリカ公演では、BMOスタジアム(ロサンゼルス)での単独ヘッドライン公演を成功させた。韓国男性ソロアーティストとしてアメリカのスタジアムを単独で満員にしたのは、J-Hopeが初めてのことだ。グローバルヒット曲「Killin’ It Girl」はBillboard Global 200でトップ3を記録。英語と韓国語を巧みに交えたリリックと、中毒性の高いダンスビートが、K-POPファンを超えて幅広い音楽リスナーに届いた。
セットリストが語る「音楽家としての成熟」
特に日本公演(埼玉スーパーアリーナ・京セラドーム大阪)では、デビュー当時のBTSナンバーをソロアレンジで披露。ARMYたちは涙しながら「ホソクが本当に大人になった」とSNSに書き記した。2025年12月24日にはこのジャパンツアーのBlu-rayもリリースされており、映像でも残る歴史的公演となった。
「ホソク」であることの誇り
J-Hopeのソロ活動を語るうえで欠かせないのが、彼が一貫して「チョン・ホソク」としての自己表現を大切にしてきた姿勢だ。BTSの中では「笑顔担当」「ムードメーカー」として知られる彼。しかしソロ活動では、その明るさの裏にある葛藤や成長を正直に音楽に込めてきた。ツアー中のMCでも、「ホソクとして皆さんの前に立てていることが誇りです」と繰り返した。軍隊での経験が、「一人の人間として生きること」の重みを彼に実感させたのだろう。
2026年、BTS完全体復活——ホソクは何を持ち帰るか
BTSメンバー全員が2025年6月までに兵役を終え、グループとしての活動が本格的に再開した。2026年春にはフルアルバムとワールドツアーが計画されており、3月21日にはソウル・光化門広場でのフリーライブも実施された。4月からは79公演・34都市に及ぶ史上最大規模のワールドツアーがスタートしている。ソロで磨いた実験的なサウンドセンスと、47万人のオーディエンスを前にして獲得した表現者としての深みが、BTS完全体の新アルバムに還元される期待が高まっている。
まとめ
- J-Hopeは2024年10月に除隊し、2025年2月から「HOPE ON THE STAGE」ワールドツアーをスタート
- 15都市・31公演で約47万人を動員、韓国男性ソロアーティスト初の米スタジアム単独公演を達成
- 「Killin’ It Girl」がBillboard Global 200でトップ3を記録、グローバルな認知度を獲得
- 2022年の『Jack in the Box』から続くソロ活動で、「ソロアーティスト・ホソク」像を確立
- 2026年にBTS完全体活動が再開。ソロで磨いた表現力をグループに還元する期待が高まっている
「Killin’ It Girl」や『Hope on the Street Vol.1』から、ソロアーティストとしてのJ-Hopeの世界に触れてみてほしい。

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