3月21日夜8時、スマートフォンを手に待機していた人が世界中にいた。Netflixのアプリを開き、検索欄に「BTS」と打ち込みながら。テレビでも配信サービスでもなく、Netflixだけで見られる——そのことの意味を、多くの人がまだ飲み込みきれていないまま、その夜は始まった。
BTSが新アルバム「MUSE」のカムバックライブ「ARIRANG」をNetflixで世界同時独占ライブ配信した。K-POPの歴史においても前例のない試みで、地上波でもYouTubeでもなく、Netflixというサブスクリプションプラットフォームを主戦場に選んだ。
「ARIRANG」というタイトルが持つ重さ
「アリラン」は韓国の民謡であり、2014年にユネスコの無形文化遣産にも登録されている。長い歴史の中で、労働者が歌い、離れ離れになった家族が口ずさみ、時代の痛みを乗り越えてきた歌だ。
BTSがカムバックライブにこのタイトルをつけた意味は軽くない。兵役という空白を経て戻ってきた彼らが、韓国の魂とも言うべき民謡の名を冠したライブで「帰還」を宣言した——ファンにとってそれは、単なる新曲発表を超えた、ひとつの物語の再起動だった。セトリにはソロ曲とグループ曲が交互に組まれ、久々に全員が揃ったステージに、コメント欄には「泣いた」の文字が溢れた。
Netflixという選択肢の衆撃
なぜNetflixなのか。その問いに対するBTS側の明確なコメントはまだ多くないが、数字が一部を語っている。Netflixの有料会員数は2024年時点で3億人超。K-POPファンの多くがスマートフォンで音楽コンテンツを消費しているという調査結果もある中、テレビという「受動的な受信」ではなく、Netflixを通じた「能動的な選択」によって届けることで、視聴者一人ひとりを主役にする設計だ。
実際、ライブ配信の同時接続者数は非公表ながら、翌日のSNSトレンドでは「BTS」「ARIRANG」「Netflix」が日本・韓国・アメリカの3カ国で同時トレンド入りを果たした。
光化門広場、そして東京ドームへ
今回の会場に選ばれた光化門広場は、ソウルの中心部に位置する歴史的な広場だ。景福宮の正門前に広がるこの場所は、市民運動の舞台として知られる一方、BTSゆかりの地としてもARMYにはなじみ深い。単なる「大きな野外ステージ」ではなく、韓国の歴史と現在が交差する場所でのパフォーマンスは、「ARIRANG」というタイトルとの文脈を強く呼応させた。
そして国内ファンの視線はすでに東京ドーム公演へと向いている。3月20日のアルバムリリース直後から「東京ドーム」のワード検索数が急増し、ワールドツアー情報解禁を待ちわびる日本ARMYの声はSNS上で日に日に大きくなっている。
もう一度、全員で——その声を聴けることの尊さ
配信後、SNSには「RM・JIMIN・V・JUNG KOOKの声が一緒に聴けることがこんに嫁しいとは思わなかった」という投稿が相次いだ。兵役を経た再集結という事実が、彼らの音楽に新たな文脈を与えている。
「ARIRANG」のライブ映像はNetflixに期間未定で残る予定。まだ見ていないなら、今夜そのボタンを押す価値は十分にある。ARMYでなくても、BTSを知りたいと思ったことがある人なら、今が最初の扉を開く絶好の機会だ。


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