骨折しても降りられなかったダヒョン——TWICE「THIS IS FOR」78公演ツアーとK-POPアイドルの過酷な現実

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Photo by Tony Pham on Pexels

足首を骨折した状態でもステージに立ち続けたと見られるダヒョン。TWICE(トゥワイス)の人気メンバーが直面したこの状況は、K-POPという産業が内包する「休めない構造」を改めて浮かび上がらせた。ダヒョン、TWICE、そして足首骨折——この3つのキーワードがSNSを席巻した背景に、何があったのか。

台北で何が起きたのか

2026年3月、TWICEのメンバー、ダヒョンがワールドツアー「THIS IS FOR」の台北公演を欠場した。発表されたのは左足首の骨折。JYP Entertainmentは「医師の指示に従い欠場を決定した」と説明したが、それまで過密なスケジュールをこなし続けてきた状況は変わらない。78公演・43地域を巡る大規模なツアーの途上での骨折——この診断が下ったからこそ、それまでいかに体に負担をかけてきたかが浮かび上がる。

78公演・43地域、その圧倒的なスケール

今回のワールドツアー「THIS IS FOR」は2025年から続く世界公演だ。78公演、43の国・地域——この数字を並べるだけで、そのスケールが伝わる。日本では国立競技場(東京)とMUFGスタジアム(福岡)での大型会場公演も予定されており、多くのファンが参加を心待ちにしている。こうした規模のツアーでは、たとえメンバーが体調不良であっても「降りる」という選択肢が現実的にいかに難しいかが見えてくる。公演1回あたり数万人の観客、多額の制作費、各地のスタッフの雇用——これらすべてが「続けること」を前提とした構造を生み出している。

K-POPアイドルに「休む権利」はあるか

この問題はダヒョン個人にとどまらない。近年、K-POPアイドルの過密スケジュールは国際的な関心を集めている。多くのアイドルが20代という若さで健康上の問題を抱えるケースが報告されてきた。デビュー前から数年間のトレーニング、デビュー後は年間を通したアルバムリリースとワールドツアーの繰り返し——このサイクルは今も続いている。韓国でも「アイドルの労働環境改善」を求める声が研究者やメディアから上がり始めており、業界全体の意識は徐々に変わりつつある。しかし、骨折という状態でもツアーを続けることが選択肢にあり得る現実の前では、変化のスピードはまだ追いついていないと言わざるを得ない。

ファン(ONCE)が感じた複雑な気持ち

今回の件でSNS上では、ONCEと呼ばれるTWICEのファンたちから多様な声が上がった。「早く回復してほしい」という心配の声はもちろん、「なぜもっと早く休ませなかったのか」という怒りの声も少なくなかった。推しを見たいという気持ちと、推しを休ませてほしいという気持ち——アイドルのファンなら誰もが抱えるこのジレンマは、今回改めて浮かび上がった。「コンサートに行きたいと思うことが、アイドルを追い詰めているのかもしれない」——そんな声もSNSに並んだ。

ダヒョンが戻ってくるとき

現時点でJYP Entertainmentは、ダヒョンの復帰時期について「未定」としている。日本公演への参加可否も正式な発表はなく、ファンは続報を待っている。ダヒョンはTWICEのなかでも特にダンスの安定感と表情の豊かさで知られるメンバー。7年以上にわたるグループ活動を支えてきた彼女が、しっかりと体を治した上でステージに戻ることを多くのファンが願っている。「This is for you」——ツアータイトルに込められたファンへのメッセージが本物であるなら、まずは彼女自身の体を優先してほしい。その声は、国境を越えて広がっている。

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