2026年、山崎賢人が前代未聞の記録に挑んでいる。3月公開の映画『ゴールデンカムイ』、7月公開予定の映画『キングダム』、そしてNetflix配信予定の『今際の国のアリス Season3』——漫画原作実写3作品の主演を同じ1年間でこなす俳優は、少なくとも現代の日本映画界には存在しない。なぜ山崎賢人だけがこれを成立させるのか。
「漫画実写化」という鬼門を、なぜ彼は越え続けるのか
漫画原作の実写化は、日本エンタメ界における長年の鬼門だ。原作ファンの期待値が高すぎる、キャラクターのビジュアルと俳優の外見が一致しない、物語の改変が批判を呼ぶ——そういった問題が積み重なり、公開前から炎上するケースも少なくない。しかし山崎賢人の漫画原作実写は、そのジンクスとほぼ無縁だ。
2019年公開の『キングダム』は興行収入57.3億円を記録し、続編も高い評価を維持。2022年配信の『今際の国のアリス』はNetflixで世界190カ国以上に届き、日本発アクションシリーズとして異例の国際評価を獲得した。そして2026年3月公開の『ゴールデンカムイ』も公開直後から好調な滑り出しを見せている。
「なりきる」ではなく「再構築する」俳優の哲学
なぜ彼だけが連続してこれを成功させられるのか——俳優・山崎賢人のインタビューを追うと、一つのキーワードが繰り返し登場する。「キャラクターに寄せるのではなく、自分がそのキャラクターを生きる感覚」だ。漫画原作ファンが実写に求めるのは、二次元の完全再現ではなく「このキャラクターが実在したらどう見えるか」という体感だという見方がある。山崎賢人のアプローチはその需要と合致している。彼が演じる主人公は原作のコピーではなく、山崎賢人という俳優の肉体と感情を経由して再誕生した存在として機能する。身長178cmの長身、高い身体能力を活かしたアクション、感情の振れ幅の広い演技——これが漫画の「絵」をリアルに落とし込む際の説得力になる。
モデル→俳優→世界配信——15年のキャリアの地図
山崎賢人は1994年9月7日生まれ。2009年、中学生の頃にスカウトされてモデルデビューした。その後俳優へと活動の軸を移し、2013年のドラマ『GTO』などで存在感を示す。映画『orange』(2015年)、そして2019年の『キングダム』が大きな転機となり、「漫画原作実写の顔」というポジションを確立した。2022年の『今際の国のアリス』でNetflixというグローバルプラットフォームへ進出し、海外メディアでも取り上げられる存在となった。スターダストプロモーション所属のこの俳優が、今や国際的な文脈でも語られるようになったのは、作品の質と彼自身のキャリア選択の必然だろう。
2026年、「三冠」の先に見えるもの
3作品を1年でこなすというのは、肉体的にも精神的にも相当な負荷を伴う。役ごとに異なる身体づくりが必要で、撮影スケジュールが重なる時期も存在したはずだ。それでもこのラインナップが成立しているのは、プロデューサー側の絶大な信頼と、山崎賢人自身の明確な意志の両方があってのことだろう。Netflixや他のグローバル配信プラットフォームが日本コンテンツへの投資を続ける中、「漫画原作実写を成功させられる俳優」の価値は国際市場でも上昇し続ける。2026年の三本が揃ったとき、山崎賢人というキャリアの地図は、また一段と広くなっているはずだ。まずは公開中の『ゴールデンカムイ』から、その現在地を確かめてほしい。


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