杉元佐一から信へ──山崎賢人が2026年に仕掛ける、日本映画史上最大の自己更新

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3月に公開された山崎賢人主演ゴールデンカムイ 網走監獄の試写を観た映画ライターが、こんなことを言っていた。「山崎賢人の体、もはや別人じゃないか」。同年7月にはキングダム最新作も控え、2026年は山崎賢人から目が離せない。

同じ年に、まったく別の武人を演じる

2026年の邦画界において、山崎賢人の名前が2度登場する映画ポスターが街に並ぶ光景は、少し異様だ。3月公開のゴールデンカムイ 網走監獄では元陸軍兵・杉元佐一として雪原と監獄を駆け抜け、7月公開予定のキングダム 魂の決戦では秦の将軍・信として中国の戦場を指揮する。同じ俳優が、まるで別人のような武人を、同じ年に演じ切る。これが今の山崎賢人という俳優の異常値だ。

2大国民的IPの主演を掛け持ちする意味

ゴールデンカムイシリーズは2024年の第1作から累計興行収入が90億円を超えるとも言われ、キングダムシリーズは第1作(2019年)から4作にわたって各作品が30から50億円規模の興収を記録してきた国民的シリーズ。その2つの主演を掛け持ちするのは、スケジュール管理の話ではない。体そのものの設計を変える話だ。

杉元佐一と信──肉体が語る、2つの役の差

杉元佐一は、戦場で不死身と呼ばれた男だ。傷を恐れず突進し、泥と血にまみれて戦う。山崎賢人はこの役のために体重を増やし、柔道・銃剣道・実戦格闘技の訓練を重ねたとされる。筋肉の質より強さのオーラを纏うための体づくりだったという。一方の信は、秦の6大将軍を目指す農民出身の武将。体の線は杉元より細く速い。キングダムシリーズの武術監督・谷垣健治が求めるのは、中国武術をベースにした鋭さだ。体重が重すぎると動きが鈍くなる。つまり山崎賢人は、ゴールデンカムイ撮影後に体を作り直す必要がある。同じアクション俳優という言葉で括られても、その中身はまったく異なる。これを同一年にやってのけるというのが、いまの山崎賢人のリアルだ。

キャリアの転換点から、世界へ

山崎賢人が映画界で本格的に注目されたのは、2015年公開のorangeや翌年の好きっていいなよ。といった少女漫画原作作品からだと言われることが多い。だがその認識は、すでに古い。転換点は2019年のキングダム第1作だった。興行収入57億円という数字だけでなく、山崎賢人がアクションをやれるという証明として業界に衝撃を与えた。そこからNetflixシリーズ今際の国のアリスが世界的にヒットし、英語圏・韓国・ヨーロッパでも KENTO YAMAZAKI の名前が知られるようになった。日本発のIPを世界に届けるための顔として、山崎賢人のポジションは確立されつつある。

3月のゴールデンカムイ 網走監獄はシリーズの佳境にあたる。網走監獄という密室を舞台に、杉元・アシㇼパ・土方歳三ら各陣営が入り乱れる構成は、原作ファンが最も盛り上がる部分だ。そして7月にはキングダム 魂の決戦。今作が山崎賢人にとってキングダムでの最大の見せ場になるとも言われている。2作品を続けて観ることで、同一俳優が全力で自分を更新していく様子をリアルタイムで目撃できる。邦画界に山崎賢人の年という言葉が定着するとすれば、それは2026年をおいて他にない。

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