30年ぶりに、NHKが豊臣家を大河ドラマで描く。しかも主役は秀吉ではなく、弟の秀長だ。この一点だけで、2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」は従来の歴史ドラマとは一線を画している。
弟を主人公にした、前代未聞の選択
大河ドラマの豊臣秀吉といえば、1996年放送の「秀吉」(竹中直人主演)が最後。以来 30年間、NHKは豊臣家を主役に据えなかった。その30年ぶりの豊臣大河で、主役に選ばれたのは豊臣秀長(ひでなが)——兄・秀吉の右腕として戦国時代を支えながら、歴史の表舞台にはほとんど登場しない人物だ。この「秀長主役」という判断は、脚本を担当した八津弘幸のアイデアが核にある。半沢直樹やおちょやんを手がけた八津は、権力を握った秀吉の視点ではなく、兄の暴走を内側から支え、ときに誫めた弟の目線で天下統一を描くことで、これまで語られなかったもう一つの豊臣史を浮かび上がらせようとしている。
仲野太賀×池松壮亮、この兄弟キャスティングが絶妙な理由
秀長を演じるのは仲野太賀。愚行録や街の上でなど、静かな内面を繊細に表現することに定評のある俣優だ。対して兄・秀吉には池松壮亮。一見意外に思えるキャスティングだが、池松の持つ独特の存在感とカリスマ性が秀吉の摑みどころのない天才性を体現しており、仲野演じる秀長の懸命さが際立つ対比が生まれている。第1話の視聴率は13.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯視聴率)。前年の大河「べらぼう」の初回12.6%を上回り、近年の大河ドラマとしては好発進となった。
脇を固める豪華布陣
小栗旬が演じる織田信長は第1話から圧倒的な存在感を放ちトレンドに。カリスマと狂気を内包した信長像は早くも話題になっている。浜辺美波はねね(後の北政所)役で、秀吉の妻として、また秀長と並走する兄を支える存在としても機能する重要な立ち位置だ。家康役の松下洊平はまだ本格登場前だが、後半への期待値を引き上げている。
「兄弟の絆」という普遇テーマが2026年に刺さる理由
歴史ドラマを敗遠してきた人ほど、豊臣兄弟!には入りやすいかもしれない。本作の本質は天下統一の物語ではなく、才能ある兄を不器用な弟がどう支えるかという人間ドラマだからだ。職場での役割分担、家族間の葛藤、自分の意見を言えない苦しさ——秀長が抱えるジレンマは現代人にそのまま重なる部分がある。毎週日曜20時、NHK総合で放送中。見逃した回はNHKプラスで配信されているので、まだ追いついていない人もすぐに合流できる。


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