テレビの電源を入れた瞬間、あの声が流れてきたら——きっと手が止まる。
2026年3月20日、WOWOWがZARDの35周年記念コンサートを独占放送する。坂井泉水が旅立って19年。それでも「負けないで」のイントロが流れると、胸のどこかがぎゅっと締め付けられる感覚は、時間によって薄まるどころか、年を重ねるごとに深くなっていく気がしないだろうか。ZARDの音楽は今なお多くの人の心に生き続けている。
ZARDとは何だったのか——数字が語る圧倒的な存在感
1991年のデビューから、ZARDは90年代J-POP黄金期を走り続けた。「負けないで」(1993年)は週間オリコンチャート1位を獲得し、カラオケでも社会現象と呼べるほどの人気を誇った。「揺れる想い」(1993年)「マイフレンド」(1994年)など立て続けにミリオンセラーを生み出した。
坂井泉水は長年にわたりテレビ出演をほとんど行わず、プロモーションビデオや写真で存在を示し続けた。どこか謎めいているその距離感が、かえって聴き手の想像力をかき立てた。声だけで、これほどの熱量を生み出せるアーティストは、日本の音楽史でもそう多くない。
ライブ映像が持つ、特別な意味
2007年5月27日、坂井泉水は40歳で亡くなった。以来、ZARDの音楽はライブで聴くことができなくなった。だからこそ、今回放送される35周年記念ライブ映像には、ただのコンサート記録以上の重みがある。
バンドメンバーが生演奏を奏でる中、坂井泉水のアーカイブ音源がシンクロする——このスタイルは、亡くなったアーティストの音楽を「今」として届ける新しい形だ。東京国際フォーラムでの体験が、3月20日の夜、テレビ越しに届く。
90年代J-POPリバイバルが止まらない理由
近年、サブスクリプションサービスでZARDの楽曲が静かに再注目されている。「親が聴いていたのを聴いたら沼った」という20代の声もSNSで増えており、世代を超えた広がりを見せている。
答えは歌詞のシンプルさにある。「負けないで、もう少し、最後まで走り抜けて」——余計な言葉がない。仕事で詰まったとき、誰かと別れたとき、この言葉は刺さる。世代を超える普遍性とは、こういうことを言う。
3月20日夜、WOWOWが届けるもの
WOWOW独占放送は、丁寧な映像製作・音質へのこだわり・この夜に合わせて観るという体験の設計——それが、ストリーミングとは異なる没入感を生む。
照明を少し落として、スマホをしまって、あの頃の自分に少しだけ戻ってみる夜があってもいいと思う。坂井泉水の声は、19年経った今も、ちゃんとそこにある。


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